J-TECH STARTUP SUMMIT 2016 開催レポート
2016.12.7 @ ヒューリックホール浅草橋
「J-TECH STARTUP SUMMIT 2016」に、日本を代表する期待の技術系ベンチャー8社が登壇!
技術系ベンチャー企業の支援組織であるTEPは、2016年12月7日(水)に『日経テクノロジーオンライン』と共催で「J-TECH STARTUP SUMMIT 2016」を開催しました。当日は、2016年の「J-TECH STARTUP」認定企業8社の代表が集まり、認定証授与を行いました。
また、技術系ベンチャー企業としてビジネスを急成長させているマイクロ波化学株式会社の代表取締役CEO吉野巌 氏による基調講演「世界が知らない 世界をつくれ ~マイクロ波化学プロセスの事業化~」や、日経テクノロジーオンライン編集長の狩集浩志 氏がモデレーターを務め、パネルディスカッション「新産業創出のカギはDeep Techベンチャーにあり」を、マイクロ波化学 代表取締役CEO吉野氏、今回の「J-TECH STARTUP」認定企業であるティエムファクトリ株式会社 代表取締役 山地正洋 氏、そしてTEP代表理事 國土晋吾で行いました。懇親会では、「J-TECH STARTUP」認定ベンチャー企業の展示ブースに多くの人が集まり、技術系ベンチャー企業を囲むネットワーキングが盛り上がりました。
「J-TECH STARTUP(ジェイテック スタートアップ)」について
「J-TECH STARTUP(ジェイテック スタートアップ)」は、技術をビジネスのコアコンピタンスとした事業でグローバルな成長が期待される日本を代表する技術系ベンチャー企業を認定する取り組みで、今回第1回目となります。
日本トップレベルの技術が集積する各研究機関・支援組織からの後援も得て、エネルギー分野やメカトロニクス分野、マテリアル分野、メディカル分野、組み込み型ソフトウェア分野など幅広い分野の技術系ベンチャー企業に決定いたしました。
<第1回 J-TECH STARTUP認定企業> ※五十音順
オリガミ・イーティーエス合同会社 (ソフトウェア分野)
・代表:小澤悟 氏・小林高士 氏
・事業概要: 解析ソフトウェアベンダーに向けた大型展開構造解析プログラムOrigami/ETSの使用ライセンスのリース及び既存解析ソフトウェアとのインタフェース部分の開発など
株式会社オリゴジェン (メディカル分野)
・代表:城戸常雄 氏
・事業概要:オリゴデンドロサイトへほぼ100%の効率で分化可能な新しいタイプのヒト神経幹細胞”OligoGenie”の研究開発と、再生医療や創薬領域での事業化
株式会社クァンタリオン(エレクトロニクス分野)
・代表:根岸邦彦 氏
・事業概要:世界で初のホワイトニングなしで真正乱数を生成する物理的セキュリティデバイスで複製不可能なIoTのセキュリティ基盤を支える超小型量子認証素子の開発
株式会社Xiborg(メカトロニクス分野)
・代表:遠藤謙 氏
・事業概要:ロボット技術を駆使したロボット義足の開発、臨床実験、販売、さらに義足技術を活用したリハビリ機器の開発など
株式会社Spectee(クラウドエンジン分野)
・代表:村上建治郎 氏
・事業概要:動画・画像認識と自然言語解析の特許技術による、SNSやインターネットなどの動画・画像収集および解析のAIプラットフォーム開発運用と、集まった動画・画像コンテンツの運用サービス
株式会社チャレナジー(エネルギー分野)
・代表:清水敦史 氏
・事業概要:台風の風力を利用して発電をする、世界初の「垂直軸型マグナス式風力発電機」の研究開発および販売
ティエムファクトリ株式会社(マテリアル分野)
・代表:山地正洋 氏
・事業概要:ガラスよりも低コストで、軽く、高断熱な、世界初の汎用透明断熱材エアロゲル「sufa(スーファ)」の研究開発、販売
株式会社BONX(組み込み型ソフトウェア分野)
・代表:宮坂貴大 氏
・事業概要:独自の音声データ通信システムと音声認識技術によるスマートフォンアプリとBluetoothイヤホンで構成されるグループ通話システム(ウェアラブルトランシーバー)の開発、販売
基調講演:技術系ベンチャー企業がぶつかる3つの壁とは?
「世界が知らない 世界をつくれ ~マイクロ波化学プロセスの事業化~」
マイクロ波化学株式会社 代表取締役CEO 吉野巌 氏
マイクロ波で化学品を効率良く製造する技術を開発し、世界初の大型マイクロ波化学工場を設立、技術の産業化に取り組みビジネスを展開しているマイクロ波化学の吉野氏による基調講演。技術系ベンチャー企業が乗り越えなければならない3つの壁について、実体験をもとにお話いただきました。
第1「大型化の壁」
技術は面白いが、ラボの技術で大型化は難しい、と言われてきたマイクロ波。大型化にむけた最大のポイントは、開発チームであった。これまで物理学として研究されてきたマイクロ波を化学の分野と融合させる研究を10年ほど重ね、開発費およそ50億をかけ、2014年にようやく世界初となる大型の化学プラント製造に成功。物理と化学の研究者チームによる、技術を融合したエンジニアリングで、大きなブレークスルーを迎えた。
第2「事業モデルの壁」
ベンチャー企業がどこもぶち当たる事業モデルの構築。マイクロ波化学もその過程を経て現在のビジネスを築き上げた。設立当初はバイオディーゼルの会社としてスタートしたものの、ビジネスとして軌道に乗せる事が難しくビジネスモデルを模索していた頃、あるメーカーさんからのアドバイスにより、マイクロ波をバイオディーゼル以外のものに活用する新たな方向性を切り開く事になった。現在ではテクノロジープロバイダーとして、マイクロ波の基盤的技術を化学メーカーに提供しており、それにより、マイクロ波の可能性を様々な産業分野に広げることができている。
第3「実績の壁」
多くの企業は「イノベーションしたい、一緒にやろう」、と意欲はあるものの、実際にビジネス化にむけた話し合いが始まると実績がまだ築かれていないマイクロ波の大型化には消極的。実績のないものに手を出してくれる企業が中々みつからず、最終的に自分たちでブラントを作る、という大きな舵切りを行い、2014年に完成したのが世界初の大型マイクロ波化学工場だった。それからインキの原料を製造し販売を始め、今では新聞などのカラーインキとして3社に使われている。これにより実績の壁を越え、現在の多くの反響につながった。
「新しいものを世の中に生み出す時には、既存の仕組みでは対応できない。トータルの仕組み(ものづくりに関する全般)に対応できるようにならないと、新しい技術が世の中に出て行くのは難しいと感じている。」
3つの壁を乗り越え、既存のビジネスモデルや仕組みにのらず自社ならではのビジネスを開拓してきたマイクロ波化学。工場設立から2年かけてようやく、メーカーのプラント設計を支援する新たなビジネスモデルの取り組みもスタートしました。2015年には太陽化学株式会社と合弁会社を設立し、現在三重県四日市市にプラントを建設中、来年の春から運転を始める予定とのことです。
パネルディスカッション:No TECH, No Innovation!DEEP TECH(ディープテック)が日本を救う!?
「新産業創出のカギはDeep Techベンチャーにあり」
■トークテーマ
1.強いビジネスプランはコア技術にあり!
2. どう超える? 量産のハードル
3.日本の大企業ってどう?
モデレーター:日経テクノロジーオンライン編集長 狩集浩志 氏
パネラー:
--- マイクロ波化学株式会社 代表取締役CEO 吉野巌 氏
--- ティエムファクトリ株式会社 代表取締役 山地正洋 氏(「J-TECH STARTUP」認定企業)
--- TEP代表理事 國土晋吾
パネルディスカッションでは、それぞれのフェーズの技術系ベンチャー企業、そして支援する立場から、新産業創造に向けた技術系ベンチャー企業の成長に必要なことをディスカッションしました。
パネルディスカッションは大いに盛り上がり、その後の懇親会では、技術系スタートアップのエコシステム構築に向けたネットワーキングが行われました。
<日経テクノロジーonlineによる関連記事>
・J-TECH STARTUP選定企業(2016)
・2016.12.1 野球のカーブと同じ原理? 台風にも負けない風力発電
・2016.12.2 技術があれば… ロボット義足で「そんなバカな」をなくす
・2016.12.2 JAXA初のベンチャー、人工衛星のアンテナで培った構造解析
・2016.12.5 原子核崩壊を用いた乱数発生器、IoT時代の必須デバイスに
・2016.12.6 寒い冬の味方? 京大発ベンチャーが超軽量・高断熱の透明素材
・2016.12.6 報道が利用開始! 自動解析技術でSNSを分析・整理
・2016.12.6 “イヤホン界のGoPro”目指すスタートアップ
・2016.12.6 脊髄損傷治療に光、新しいヒト神経幹細胞開発で挑む
・2016.12.8 新産業を生み出すコアを持つベンチャー8社、目利きが選出
[開催レポート終了]
新産業創出の根幹となるコア技術で勝負する“Deep Tech”ベンチャー。日本の国際競争力向上のためにはこうした企業の育成が必要であるにもかかわらず、これまで日本ではあまり光が当たってきませんでした。こうしたDeep Techベンチャーを掘り起こし、世界進出を支援する目的のイベントがJ-TECH STARTUP SUMMITです。
J-TECH STARTUP SUMMITでは、技術をビジネスのコアコンピタンスとした事業でグローバルな成長が期待される日本を代表する技術系ベンチャー企業を「J-TECH STARTUP(ジェイテック スタートアップ)」銘柄として発表するほか、各企業のプレゼンや展示のほか、講演やパネルディスカッション等を行います。期待のDeep Techベンチャーをどうぞお見逃しなく!
■第1回 J-TECH STARTUP 認定企業(2016.11.22発表) ※五十音順
- ・オリガミ・イーティーエス合同会社(ソフトウェア分野)
- ・株式会社オリゴジェン(メディカル分野)
- ・株式会社クァンタリオン(エレクトロニクス分野)
- ・株式会社Xiborg(メカトロニクス分野)
- ・株式会社Spectee(クラウドエンジン分野)
- ・株式会社チャレナジー(エネルギー分野)
- ・ティエムファクトリ株式会社(マテリアル分野)
- ・株式会社BONX(組み込み型ソフトウェア分野)
■第1回「J-TECH STARTUP SUMMIT」概要
- 開催日:2016年12月7日(水)13:00-18:00
- 場所:ヒューリックホール(浅草橋駅より徒歩1分)アクセス
- プログラム(予定):
- 12:00 受付開始
- 13:00-13:10 ご挨拶 國土晋吾(TEP代表理事)
- 13:10-14:00 J-TECH STARTUPプレゼン(1)>
- 14:00-14:10 休憩
- 14:10-15:00 J-TECH STARTUPプレゼン(2)
- 15:00-15:15 J-TECH STARTUP認定賞授与
- 15:15-15:25 休憩
- 15:25-15:55 基調講演 「世界が知らない 世界をつくれ ~マイクロ波化学プロセスの事業化~」
吉野 巌 氏(マイクロ波化学株式会社 代表取締役社長CEO) - 三井物産(株)(化学品本部)、米国にてベンチャーやコンサルティングに従事。2007年「マイクロ波化学」設立。1990年慶応義塾大学法学部卒、2002年UCバークレー経営学修士(MBA)、技術経営(MOT)日立フェロー。経済産業省・研究開発型ベンチャーへの投資判断に関する調査研究委員会委員。
- 15:55-16:55 パネルディスカッション 「新産業創出のカギはDeep Techベンチャーにあり」
- モデレーター:狩集浩志(日経テクノロジーオンライン編集長)
- パネラー:國土晋吾(TEP代表理事)、吉野 巌(マイクロ波化学株式会社 代表取締役社長CEO)、ほか1名
- 16:55-18:00 懇親会
- ※技術系ベンチャー企業の展示ブースもご用意しています
- 参加費:3,000円(税込)
- 参加申込:PEATIXサイトから:j-tech.peatix.com
- 共催:TEP(一般社団法人TXアントレプレナーパートナーズ)、日経テクノロジーオンライン
- 後援:経済産業省関東経済産業局、独立行政法人 中小企業基盤整備機構 関東本部、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(AIST)、株式会社 国際電気通信基礎技術研究所(ATR)、国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
- 協力:ベンチャー通信ONLINE(http://v-tsushin.jp/)
- お問い合わせ:J-TECH STARTUP 2016運営事務局:j-tech@tepweb.jp
■「J-TECH STARTUP」創設の趣旨
インターネットを使ったSNSやECサイト、ゲームなど様々なサービスが、人々に多くの利便性や新たな価値を生み出しています。サービス技術は、比較的短期間で製品開発が可能で、日本でも成功例や支援方法が確立されつつあります。一方、それらを支える基幹技術である高速通信やAIエンジン、CPU技術などに代表されるDeep Tech(コア技術)は、裏方的で理解が難しく、製品化までに時間と人的リソースが多くかかります。そのため、事業化リスクが高く投資等のサポート体制は十分とは言えません。しかし、基幹技術であるDeep Techなくしてサービス技術は成り立ちません。シリコンバレーでは近年、サービス系技術を提供する会社への集中的な投資から、Deep Techへの投資が積極的に行われるようになってきました。日本の先端技術は海外からの注目が高く、2013年には、外資系グローバル企業によって、日本の大学発ロボティクスベンチャー企業の買収なども行われています。
「J-TECH STARTUP SUMMIT」は、ハードウェアだけではなく、組み込み型ソフトウェアやクラウド上の処理エンジン、バイオ技術、先端材料、ロボティクスなど、広義のDeep Techに焦点を当て、その重要性に注目し、Deep Techベンチャー企業のサポート体制を確立するために必要なことを議論していきます。第2回目となる今年は、「J-TECH STARTUP」銘柄として10社を選出し発表することで、日本のDeep Techへの注目度を上げることを目指します。
世界に羽ばたく技術系ベンチャーJ-TECH STARTUP
2016年のJ-TECH STARTUP応募は締め切りました。
沢山のご応募誠に有難うございました。
■応募基準 以下すべての要件を満たすベンチャー企業であること。
- ①事業分野:技術を事業のコアコンピタンスとしていれば、ハードウェア、ソフトウェアの分野は問いません。組み込み型ソフトウェアやクラウド上の処理エンジン、バイオ技術、先端材料、ロボットなども対象となります。
- ②ステージ:シリーズAまで、および株式公開前の企業を対象とします。ベンチャーキャピタル等から出資を受けていても対象となります。
- ③規模:以下の要件を満たす法人格であること。
- ・資本金額:1億円未満
- ・従業員数:50名以下
- ・大企業の子会社ではないこと
- ※法人の設立年は問いません。第二創業も対象となります。
■選考基準 以下の4項目を総合的に判断して選考します。
- ①事業の革新性(産業構造を変えるような技術であること)
- ②経済的な規模(対象とする産業規模が大きく、影響が広範囲に及ぶこと)
- ③社会的影響力(世界社会に与えるインパクトが大きいこと)
- ④事業の実行力(競争優位性、マネジメントチーム、戦略の全体整合性)
■応募方法 応募期間内に、以下①②の両方をお送りいただき、応募完了となります。
- ①応募フォーム(https://goo.gl/forms/nlXfdElKvPuOLwYi1)にご記入いただき送信下さい。
応募フォームは、TEP公式サイト、日経テクノロジーオンラインからもアクセスできます。 - ②別途、下記のポイントを押さえたプレゼン資料を、運営事務局(j-tech@tepweb.jp)までお送り下さい。
- (1)事業およびビジネスモデルの概要
- (2)「誰の」「どのような」課題を解決したいのか
- (3)課題に解決をもたらす御社商品/サービスの概要
- (4)競合先および御社の競合優位性
- (5)事業の経済的・社会的インパクト
■応募締切 2016年11月9日(水)受付分まで。締め切りは厳守とし、運営事務局の応募内容受領時刻で判断いたしますのであらかじめご了承ください。
※2016年のJ-TECH STARTUP応募は締め切りました。沢山のご応募誠に有難うございました。
■選考方法 選考はTEPと日経テクノロジーオンラインが共同で行います。
■発表 2016年11月下旬頃のプレスリリースにて公表、および2016年12月7日(水)「J-TECH STARTUP SUMMIT」にて認定賞授与を予定しています。
■「J-TECH STARTUP」認定企業の特典 「J-TECH STARTUP」認定企業は、以下の特典が与えられます。
- ①技術系ベンチャー企業の支援を得意とするTEPによる多様な支援を、2017年の1年間無料で提供
- ②TEPの海外連携先である世界各国の「グローバルパートナー」合計22都市30名を通じた、ネットワーク紹介等の橋渡しと、世界中のベンチャーコミュニティへの情報発信によるグローバル展開の後押し
- ③日経テクノロジーオンラインにて、該当企業と技術についての紹介
■FAQ(よくある質問) こちらをご確認ください。
■本件に関するお問い合わせ先
J-TECH STARTUP 2016運営事務局・後藤:j-tech@tepweb.jp
TEP広報窓口・隈元:TEL:03-6759-8989(Story Design house 内) / E-Mail:pr@tepweb.jp